電子竹林:Blog

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「殺しの儀式」- The Mermaids Singing - Val McDermid

ヴァル・マクダーミド著、森沢麻里訳、集英社文庫。食傷気味のサイコ・スリラーものですが、これは面白かった。傑作。CWAゴールド・ダガー賞受賞。英国中部の都市の連続殺人事件、犠牲者は男性、すべてむごい拷問の後で綺麗に洗われ、ゲイの集まる街に捨てられている。主人公は女性警部補キャロル・ジョーダンと心理分析官のトニー・ヒル。設定は多少興味を引く程度。今や、心理分析医なんか平凡な登場人物だし(^^;)。だけど、プロファイルの組み立て方のディティールの細かさや、キャロル、トニーの心理的な歪みの書き込み方が面白い。女性ならではの視点で、男だらけの職場で出世するキャロルの立場を描いているのもリアリティがあっていい。特にプロファイリングとラストの組み合わせ方が絶妙。比較的早く、結末は予想できたけど、ラストの一気に畳みかける展開の素晴らしさは、久しぶりの快感でした。