電子竹林:Blog

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「朽ちた樹々の枝の下に」

真保裕一講談社文庫。「奪取」以来、真保裕一はお気に入り。オタクなネタものの作家だと思っていたけど、最近は、どんどんと一般小説に進み、また文章力もついてきいていて驚く。一部のジャンルにはまってしまう日本の作家の中では非常に珍しいだと思う。妻を事故で失い、現実から逃避するように北海道の奥地で森林作業員になっている主人公。偶然に助けた女性から、自衛隊に絡む不可思議な事件を追いかける様になる。森林作業員というのが斬新な設定。主人公はごく平凡で弱い男でありながら、真っ当な性格でハードボイルドっぽくてかっこいい。なかなか面白かった。