電子竹林:Blog

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「李歐」

高村薫 講談社文庫。1992年3月に刊行された「我が手に拳銃を」を下書きにした書き下ろし。バイト先のナイトクラブで美貌の殺し屋「李歐」に出会った吉田一彰、そこから変わる人生…というストーリなんだけど、どうもその出会いとか二人の関係とか、好きになれない。吉田一彰の過去と微妙に絡んでくるが、町工場のエピソードや、中国への希望と夢みたいな部分は好きなんだけど。同性愛的な感情の描き方が、なんとも薄っぺらくて面白くない。流れている15年の歳月に、重みがまるで感じられなかった。