電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ボトムズ」☆ - The Bottoms -。

ジョー・R・ランズデール1930年代、テキサス東部の片田舎。暗い森に迷い混んだ11歳のハリーと妹のトム、体を切り刻まれ、イバラと有刺鉄線で木の幹にくくりつけられた黒人女性の死体を発見する。理髪店店主で治安官である二人の父ジェイコブは捜査を開始するが…。 ランズデールは「アイスマン」で初めて読んでちょっと気になって他のも読んで見たかったが、このアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作品を読む事にする。面白かった。主人公は11歳でありながら大人の父を救おうとするハリー。これが見事な活躍を見せる、またハリー自身の成長物語になっている。そして舞台が保守的で黒人差別が強い1930年代の南部という設定も見事。黒人の味方と反発を受けながら正義を貫く父ジェイコブの姿がいい。この辺の描写は、公民権運動を目の当たりにして育った著者の経験かららしい。「人間竜巻」と呼ばれるの祖母ジューン、冷静沈着にプロファイリング的に事件を観る黒人医師ドクター・ティンなどのわき役も、新鮮で見事な性格付け。