電子竹林:Blog

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「うつろな男」- The Hollow Man - Dan Simmons

ダン・シモンズ 内田昌之訳 扶桑社主人公ジェレミーブレーメンは35歳の数学者、妻ゲイルは2歳年下。二人はテレパスであり、その能力により誰よりも深く理解しあっている。物語はゲイルが脳腫瘍によって死ぬところから始まるが、ジェレミーのその後と、過去のジェレミーとゲイルの生活が交互に語られる…。満足は出来ないものの、不思議な魅力に満ちている小説だった。SFっぽい話自体久しぶり。フラクタル、平行宇宙、カオス、量子力学などの好みのSF的ガジェットに満ちているのがいい。描き出そうとしているのが宇宙の秘密、精神や生命の秘密までに及んでいてちょっと哲学的。興味が無い人にはちょっと退屈かもしれないが面白かった。ダン・シモンズは「殺戮のチェス・ゲーム」のホラーから、最近読んだ「ダーウィンの剃刀」のようなハードボイルド、ミステリーなどと作品の幅は広いが、この小説はジャンルを特定出来ない不思議な話。