電子竹林:Blog

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「ビヨンド・サイレンス」- Beyond Silence - ☆

1997東京国際映画祭インターナショナル・コンペティション。カローリーヌ・リンク監督。ドイツ映画。これは面白かった。今年観た映画の中ではベスト3には入ると思う。聾唖の両親の元に育った、クラリネットの音楽家の娘の話。今まで観た映画の中でも、これほど巧みな心理描写の映画はなかったです。この見事さには脱帽しました。好き嫌いという単純な心理でなく、好きであり嫌いであるこの微妙な部分が凄くうまい。最終的には父と娘の理解の物語だと思うのだけど、それを最後の最後までひっぱっていくのがうまかった。映像的にも結構好きです。地味ですが。手だしの、水底から氷を通してスケートをする姿を撮ってる映像など衝撃的。あれはトリックじゃないんですかねえ。あと最後の方のシーンでも、舞台でのアップからカメラが観客席を通り一番後ろの席の手摺りに捕まる手をアップし、再び舞台までカメラが帰る。音の伝わりを描写するこのシーケンスなど、ゾクゾクくるほど美しい動きの映像でした。'98/3銀座テアトル西友などで公開予定だそうです。