電子竹林:Blog

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「緋色の記憶」- The Chatham School Affair -

トマス・H・クック、文春文庫。「闇をつかむ男」のトマス・H・クックの新刊。'97アメリカ探偵作家協会(NWA)賞最優勝長編賞受賞作。後書きにもあるように、「雪崩を精緻なスローモーションで再現するような」クックの文は上手いと思うのだけど、どうも肌に合わない。電車に乗りながらなどの分散的な読書では集中出来ないので、うまく楽しめない。事件としては地味な内容を、ひたすら緻密に、記憶をときほぐす様に書き込んでいく技量は凄いのだけど。まあ、最後の最後まで何か一つは秘密が隠されている事は判っているので、しょうがないから読んでしまうけど(^^;)。原題はそのまま「チャタム校事件」だけど、邦題の「緋色の記憶」は、ホーソーンの「緋文字」みたいな姦通を暗示させるタイトル。