電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「漂流街」

馳星周 徳間書店。「夜光虫」を読んだばかりだというのに、あっと言う間に次の「漂流街」。噂では、去年の税金を払うために出版をペースアップせざる負えないとか(^^;)。税金は去年の収入にかかってくるので、作家は大ヒットしてしまうと確かに大変でしょう…。異国人、暗黒小説という設定は同じ。今回、主人公は日系三世ブラジル人マリオ。日本で五反田デートクラブで働く。金とシャブ、警察に、中国人に、ヤクザに追われる。この辺の作り方はまったく同じだけど、今回はデートクラブの女、ケイの存在がよかったかな。なんか、桐野夏生「OUT」みたいな女の強さを感じる。あと、天使の歌声を持つカーラの存在がよかった。マリオを虐待していた祖父の太一の屈折した感情、それを受け継いだマリオの性格というのがなかなかよかった。設定自体は、もう何度も使い廻しているけど、ストーリーテーリングとしてはまだまだ面白いなあ。まあ、考えてみればディック・フランシスだってワンパターンだけど面白いし。