電子竹林:Blog

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「インランド・エンパイア」- Inland Empire -

デヴィッド・リンチ監督。実力者を夫に持ちハリウッドの豪邸に住む女優ニッキー・グレイス(ローラ・ダーン)は映画「暗い明日の空の上で」の主役に抜擢される。グレイスと相手役デヴォン・バーク(ジャスティン・セロウ)はスチュワート監督(ジェレミー・アイアンズ)から、この映画がジプシー民話を元にした曰く付きのポーランド映画「47」のリメイクである事を聞かされる…。2006年ベネチア映画祭栄誉金獅子賞、2007全米映画批評家協会賞実験的作品賞受賞。しっかりしたストーリはほとんど無いと覚悟していたが、数十年前の実験映画に比べたら遥かに分かりやすい。脚本が無いままに撮影に2年半ぐらいかけているらしい。撮影は全編ソニーのDVカムDSR-PD150、ま、かなり汚い映像だが味にもなっている。様々なモチーフや台詞は映画の中で繰り返されるので、集中して全フレーム、全台詞をしっかり頭に刻めこんで関係性を考えて行くと面白いが、だからと言ってしっかりとストーリが分かる訳じゃない。抽象画もじっと観ると何かが観えてくる、そんな感覚を楽しむ映画だと思う。裕木奈江が重要な役所で出演、20歳台にしか見えない。裕木奈江はTVと違って「光の雨」を観ても実は名女優なんじゃなかと思わせる…が気のせいか?全体に「マルホランド・ドライブ」や「ツインピークス」が詰まらないと思う人は見ない方が無難かもしれないが、個人的には脳内を揺さぶられる感覚で面白かった。

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