ファン・ホゼ・カンパネッラ監督。ブエノスアイレス、刑事裁判所を定年退職した元書記官ベンハミン(リカルド・ダリン)は、25年前の1974年に担当し未解決となった残忍な暴行殺人事件を小説にしようと決意、かつての上司で検事補だったイレーネ(ソレダ・ビジャミル)を訪ねる…。米アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞、スペイン・アルゼンチン合作映画。最後の一瞬まで巧みなミステリー、それでいて大人の恋物語であり、人生と時間の深さについて語る見事な脚本。さらに撮影が凄い。ファーストシーンからどうやって撮っているのか悩ませる不思議で美しい映像を見せる。途中の空撮からの人物アップ、サッカー場の逃走劇の撮影などカメラワークの巧みさには脱帽。配役にも無駄がない。悪役も不気味、脇役のパブロも味がある。いい映画だ。なんでこういう映画を日本では作れないのだろうか?
