電子竹林:Blog

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「苦役列車」

山下敦弘監督、いまおかしんじ脚本、西村賢太原作。1980年代後半、父は性犯罪者、中学卒業で日雇い人足、家賃滞納を繰り返す生活を送る北町貫多(森山未來)は19歳、本好き。ある時、職場で九州出身の専門学校生の日下部正二(高良健吾)と親しくなる。貫多は古本屋で働く桜井康子(前田敦子)に一目ぼれするが…。原作は144回芥川賞受賞作、未読。この監督では「天然コケッコー」(id:zom-1:20070814#p1)などよりは「マイ・バック・ページ」(id:zom-1:20110614#p1)の暗いトーンの映画。無遠慮な底辺の描き方は、突き放しているようだけど暖かさがあって嫌いじゃない。私小説であり、最終的には成功していく事が分かっている予定調和な面はあるが、まあ、そこは許せる。下北沢批判をするアンチスノッブな江戸っ子のひねくれた気質を見せるシーンがちょっと面白かったけど、その軸は失われて基本は単なる駄目人間になっているのが残念。全体にはまあまあ。土屋隆夫「泥の文学碑」が古本屋のシーンでちょっと出てくる。

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