電子竹林:Blog

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「PERFECT DAYS」

ビム・ベンダース監督。平山(役所広司)は下町のアパートで一人で暮らし、タカシ(柄本時生)と渋谷のトイレ清掃員として働いていた。古い音楽を愛し、フィルムカメラで木々の写真を撮り、古本を読む日常に満足していたが…。カンヌ男優賞、エキュメニカル審査員賞を受賞。「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同した企画らしい。丁寧な日常を丁寧に描くという、それだけの映画だがその繊細さだけで十分に楽しめる。とは言え、文句を言うべきところも多い。ハイテク・トイレ、居酒屋、自動販売機、首都高、盆栽、神社、下町の人情味といかにもベンダース好みというか、外国人好みな映像が多すぎる。ホームレスの田中泯さえも、何か自由に楽しく生きている風に描くのはどうなのか。アパートの生活も快適そうに描いているが、それは「リトル・フォレスト」「土を喰らう十二ヵ月」で、その環境の大変さを隠蔽しながら田舎暮らし最高と言っているような能天気さを感じる。ルー・リードをはじめ70年台の音楽のセンスが素晴らしくよい。しかし、ルー・リード「PERFECT DAY」も、毎日に感謝みたいな雰囲気に使われているけど、ヘロイン中毒の幻想の曲だったんじゃないのか。これも能天気すぎ。そういう幻想の日々という映画なら納得できるが、かなりイカサマに感じる。ちょい役まで日本の有名人が出てるのは、みんなベンダースのに出たいんだろうな。

https://perfectdays-movie.jp/