電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「バイス」-Vice-

アダム・マッケイ監督。1960年代半ば、酒癖が悪く自堕落な生活を送るディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)を妻リン(エイミー・アダムス)が叱責、チェイニーはラムズフェルド(スティーブ・カレル)の下で政治を学んでいく。チェイニーは大統領首席補佐官、国務長官を歴任、そしてジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)の下で副大統領となり、2001年9月11日同時多発テロが発生する…。「マネー・ショート」のメンバー作品だけど、こちらの方がずっと洗練されている印象。エンタメ性もあり社会性も高い。オリジナル脚本でこれだけなのは凄い。演出は、なんかマイケル・ムーアっぽさが入ってるトコも面白い。クリスチャン・ベールの演技は文句なし。ブラックな笑いはあるんだけど、そこがリアルで心底恐ろしい。その先はトランプだし。こういう作品作れる社会というのはいい。

http://www.longride.jp/vice/

「魂のゆくえ」-First Reformed-

ポール・シュレイダー監督。ニューヨーク州北部、設立250周年を前にした小さな教会ファースト・リフォームド、息子を戦争で失ったトラー牧師(イーサン・ホーク)は、信者メアリー(アマンダ・セイフライド)から夫マイケル(フィリップ・エッティンガー)の相談を受ける。環境活動家のマイケルは未来を憂い、出産を躊躇していた…。宗教や環境問題を軸にした人間ドラマ、前半はイーサン・ホークの緊張感があるシーンはなかなかにいいんだけど、ラストの方は着地点は見失ってしまった感じ。不完全燃焼。と思ってRotten Tomato見たら93%! この感覚の差は文化的、宗教的なもんか???ちょっと驚き。

http://www.transformer.co.jp/m/tamashii_film/

「移動都市 モータル・エンジン」-Mortal Engines-

クリスチャン・リバース監督、フィリップ・リーブ原作「移動都市」。60分戦争から数百年、人類はわずかに残され、巨大移動都市ロンドンは弱小都市を捕食し拡大していた。その中、ヘスター(ヘラ・ヒルマー)はロンドンに潜入、指導者ヴァレンタイン(ヒューゴ・ウィービング)を暗殺しようとするが失敗、史学ギルド見習トム(ロバート・シーハン)とともに外へ落ちてしまう…。星雲賞の原作はまあ好き、巨大移動都市が捕食していくという馬鹿げたアイデアが好きだったが、映画前半はその世界観を上手く描いていて面白い。スチーム・パンク感はよく出ている。後半はアクション重視になりややバタバタ感、主役もトムじゃなくてヘスターなのが一番違和感強いけど。ヴァレンタインの娘サディアス(ヒューゴ・ウィービング)はやや出番少なめ。アナ・ファン役のジヘ・キムが印象的な役回りだった。

http://mortal-engines.jp/

「シンプル・フェイバー」-A Simple Favor-

ポール・フェイグ監督、ダーシー・ベル原作「ささやかな頼み」。NY郊外、ステファニー(アナ・ケンドリック)は夫を自動車事故で亡くし、その保険金でビデオブログなどをしながら息子マイルズを育てていた。マイルズの友達ニッキーの母親エミリー(ブレイク・ライブリー)とステファニーは友達になる。エミリーはアパレル会社に勤め、夫は作家で恵まれた生活に思われたが、ある時、急に行方不明となる…。原作未読。原作がしっかりしているのか、ミステリーの展開がすごく面白い。明暗の対比、緩急のつけ方、笑いの入れ方となかなか巧みな構成。ミスリーディングな視点の変化もなかなか効果的。落とし所もうまいし納得できる、面白かった。アナ・ケンドリックのキャラをミステリーに使うのに感心する。

http://simplefavor.jp/

「ウトヤ島、7月22日」-Utoya 22. juli-

エリック・ポッペ監督。2011年7月22日、首都オスロの政府庁舎前で自動車爆弾のテロが起こる。オスロから40キロ離れたウトヤ島ではノルウェー労働党青年部のサマーキャンプが行われていたが無差別の銃撃事件が発生。カヤ(アンドレア・バーンツェン)は離ればなれになった妹エミリエ(エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン)を心配しながら、マグヌス(アレクサンデル・ホルメン)たちと逃げるが…。極右思想のノルウェー人によるオスロで8人、ウトヤ島で69人の死者を出したテロ事件の映画化。72分ワンカットで描くという手法は緊張感があってそれなりに成功している。。ただ、手ブレが激しくて、かなり疲れるけど。それも効果的ではある。特に最後の3分の演出は全体を綺麗にまとめあげて見事だなあと思った。

http://utoya-0722.com/

「ブラック・クランズマン」-BlacKkKlansman-

スパイク・リー監督、ロン ストールワース原作。1979年、コロラド州コロラドスプリングスの警察署、初の黒人刑事ロン・ストールワース(ジョン・デビッド・ワシントン)は電話でKKKの入団面接の約束に成功。代わりに同僚フリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)が面接に出向きKKKのウォルター(ライアン・エッゴールド)を騙し、幹部のデューク(トファー・グレイス)にたどり着こうとするが…。黒人刑事がKKKに潜入捜査って宣伝文句はちょっと話盛りすぎな感じだが、でもこれが実話ベースっていうのはなかなか凄い。1979年のKKKというのも想像を超えていて人種差別の根深さを感じる。なんで電話だけロンが担当するの、などちょっと疑問があって、その辺の実話を元にしての違和感はかなり残る。流れがギクシャクしがち。そして「國民の創生」はやはり基礎知識なんだよなあと実感した。アダム・ドライバーは相変わらず朴訥としながらの芸達者。パトリス・デュマス(ローラ・ハリアー)も魅力的。

http://bkm-movie.jp/

「イップ・マン外伝 マスターZ」-葉問外傳 張天志 Master Z: Ip Man Legacy-

ユエン・ウーピン監督.イップ・マンとの詠春拳の正統争いで破れたチョン・ティンチ(マックス・チャン)は、香港で小さな食料品店を営み息子のフォンを育てていた。ある時、街を仕切る長楽グループのクワン(ミシェル・ヨー)の弟キット(ケビン・チェン)からジュリア(リウ・イエン)とナナを助けたことでキットの恨みを買うことになるが…。香港の湾仔あたりが舞台で、古き香港映画、カンフー映画の味があって楽しめた。英国人悪役ぶりも懐かしい感じ。久しぶりのミシェル・ヨーのカンフーもいいし、トニー・ジャーも殺し屋役で登場するのも楽しめる。あんまり顔が出ないけど。知らなかったがデヴィッドソン役のデイブ・バウティスタって米国プロレスラーなんだ。結構映画に出てるな。

http://www.ipman-masterz.com/