電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ブラック・フォン」-The Black Phone-

スコット・デリクソン監督、ジョー・ヒル原作「黒電話」(短編)。子供の失踪事件が続くコロラド州デンバー北部。少年フィニー(メイソン・テムズ)は、マジシャンだという男(イーサン・ホーク)に声をかけられ、そのまま誘拐されてしまう。気付くと地下室に閉じ込められていたが、断線した黒電話が鳴る。一方、フィニーの妹グウェン(マデリーン・マックグロウ)は兄の失踪の夢を見るが…。あまあな話なんだが、超自然的な力の絡み方が曖昧で、その辺に面白味が薄い。特に、妹は重要な役なのに、物語への絡み方がイマイチ弱いのは何故なんだろうか。妹絡みで十倍は面白くなったのに。ラストの、脱出ゲームみたいなイロイロはちょっと面白かったが、そこだけの一発ネタな気もする。しかし、イーサン・ホークである必要あったのか。監督の色よりは製作のジェイソン・ブラムも色合いが強い感じ。

https://www.universalpictures.jp/micro/blackphone

「モガディシュ 脱出までの14日間」-Escape from Mogadishu-

リュ・スンワン監督。1990年、韓国は国連への加盟を目指しアフリカ諸国でロビー活動を展開。一方、北朝鮮もアフリカとの外交を始めていた。その頃、ソマリアで内戦が勃発。ソマリアの韓国大使ハン・シンソン(キム・ユンソク)、その参事官カン・テジン(チョ・インソン)、大使夫人・ミョンヒ(キム・ソジン)は国外脱出を目指しながら籠城を続ける。また、北朝鮮大使リム・ヨンス(ホ・ジュノ)、参事官テ・ジュンギ(ク・ギョファン)と家族たちは逃げ延び、韓国大使館に助けを求めるが…。2021年青龍映画賞で作品賞、監督賞ほか5部門を受賞、韓国で大ヒット。「ベルリン・ファイル」の監督で、海外での南北朝戦の対決と交流ってとこは同じ構図な映画。ただ、あそこまでは繊細でいい展開でもなかった、でもまあまあかな。1988年ソウル五輪が成功し、世界に出ていく時代感覚は今見るとなかなか面白いかも。しかし、南北で友情は生まれるが、その気持ちはじっと隠して静かに別れる、ってラストは南北ものの定番だなあ。ちょっと使いすぎという気もする。

https://mogadishu-movie.com/

「エルヴィス」-Elvis-

バズ・ラーマン監督。エルビス・プレスリー(オースティン・バトラー)は、ゴスペルに影響を受けた音楽とダンスで大人気となったが、保守的な世間の批判を浴びる。強欲なマネージャーのトム・パーカー(トム・ハンク)は、なんとかプレスリーをコントロールしようとする。「ハウンドドック」などヒット曲を出すが、1958年に徴兵され西ドイツへ、そこで知り合ったプリシラ(オリビア・デヨング)と結婚することになるが…。音楽はまあまあな印象だが、細かいつなぎの演出が古臭いのと、長すぎなのはイマイチな印象を受ける。黒人音楽のゴスペル、R&Bからの影響、さらにソウルやロックが生まれる過程はもっと長くやってほしいとこだったが、まあしょうがないか。エルヴィスの出番も多い「グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー」 ジェリー・リー・ルイスではその辺は面白かった。ゴスペルは白人は覗き見が基本なのも一緒。そういえばジェリー・リー・ルイスは名前も出てこなかった気がする。BBとか出番多いのに。プレスリーといえば「グレイスランド」はいい映画だった。ロックな映画じゃないが。

https://wwws.warnerbros.co.jp/elvis-movie/

「バズ・ライトイヤー」-Lightyear-

アンガス・マクレーン監督。スペース・レンジャーのバズ・ライトイヤー(声:クリス・エバンス)は、自分のミスで1200人の乗客が危険な惑星T'KaniPrimから脱出できない事態になる。バズとアリーシャ・ホーソーン(声:ウゾ・アドゥーバ)は、ハイパースペース燃料クリスタルの開発を急ぎ、バスはテストパイロットとなる。やがて、バズ、アリー者の孫イジー(声:キキ・パーマー)、猫型ロボットのソックスたちは、敵と戦うことになるが…。「トイストーリー」のスピンオフ、バズ・ライトイヤーのルーツの物語。初日なのに観客少なかった、人気ないのかな。展開はテンポもよく、SFネタ満載で個人的にはかなり好き。SFファンにはおすすめしたいところ。科学的には無茶なネタも多いけど、まあ映画としては許す。ナンバーが42だったり、0.2秒ぐらいのスリットスキャンな映像とかが差し込まれたり、かなりSFファン、SF映画ファンにはマニアックに楽しめる。大体、Lightyear= 光年って名前からして、この物語にぴったり。「スターウォーズ」のオマージュ多めな感じがする。ザーグ(声:ジェームズ・ブローリン)のルーツがわかるのもいい。今回は、短編映画の上映はなし。

https://www.disney.co.jp/movie/buzzlightyear.html

「神は見返りを求める」

吉田恵輔監督。イベント会社に勤める田母神(ムロツヨシ)は梅川(若葉竜也)に呼ばれた合コンで、再生回数が伸びないYouTuberの優里(岸井ゆきの)と出会う。田母神は優里のYouTubeチャンネルを手伝うようになるが、優里は人気Youtuberチョレイ(吉村界人)、カビゴン(淡梨)とのコラボで人気が出てしまう…。吉田恵輔監督ならハズレないでしょ、それもオリジナル脚本、と思ったがやはり好きだな。見返りを求める男と恩を仇で返す女による愛憎劇、と簡単にまとめてしまうのが勿体ない物語。Youtuberの話だが、社会のいろいろに当てはまりそう。全体にナマナマしく、現代の生き苦しさが伝わってくる。ムロツヨシがいい味だしているが、岸井ゆきのも今っぽい女子役で「愛がなんだ」 並にいい感じだ。

https://kami-mikaeri.com/

「ザ・ロストシティ」-The Lost City-

アダム・ニー+アーロン・ニー監督。元学者でいまは人気恋愛小説家のロレッタ・セイジ(サンドラ・ブロック)は、ベス(ダバイン・ジョイ・ランドルフ)により宣伝ツアーに駆り出され、モデルのアラン(チャニング・テイタム)に苛立つ。そして、ある財宝を狙う大富豪フェアファックス(ダニエル・ラドクリフ)がロレッタの前にあらわれ、南の島へ誘拐してしまうが…。サンドラ・ブロックが制作で主演、有名俳優が多いが物語はかなりチープ。演出も古臭く、いかにもありそうな、アクション・アドベンチャーと思えるのだけど、まあまあ娯楽作としては悪くない。楽しめる。特にブラッド・ピットの存在はかなり良かった。色モノ役だけど、それが似合っている。

https://thelostcity.jp/

「ベイビー・ブローカー」-Broker-

是枝裕和監督。借金でクリーニング店を経営するハ・サンヒョン(ソン・ガンホ)、児童養護施設出身のユン・ドンス(カン・ドンウォン)は赤ちゃんポストの子供の養父母探しで儲けようとするが、母親ソヨン(イ・ジウン)が戻り三人で行動することになる。一方、刑事のスジン(ペ・ドゥナ)とイ(イ・ジュヨン)は逮捕のために彼らを追うが…。赤ちゃんポストとブローカーから話は始まるが、意外に広く話は展開していく。犯罪というよりは、是枝の「万引き家族」を思い出させる、家族というものを考えさせる話かな。映画としては最後はアレでよかったのかなあ、という疑問はちょっとあるが。韓国で撮っているので、いつもの是枝裕和とは撮影や演出のスタイルはちょっと違うと感じた。

https://gaga.ne.jp/babybroker/