石井裕也監督、安藤ゆき原作。運動も勉強も苦手な町田一(細田佳央太)は、困った人を見逃さず接した人々の心を癒す才能を持っていた。そんな町田くんの前に欠席がちな猪原奈々(関水渚)が現れ、町田くんの気持ちが変化していく。そんな町田くんたちを見守るりら(前田敦子)、またモデルの氷室(岩田剛典)、その彼女のさくら(高畑充希)たちが関わって行くが…。別マの原作は未読。人のことしか考えないという異彩の主人公がなかなかいい。とは言え、異彩という意味では「俺物語!!」の方が好きだけど。ヒロイン演じる細田佳央太の繊細さもよかった。基本、主役の二人が地味なのがいい。最後はちょっとまとまり切れていないと思う。そこはかなり残念。
「パドマーワト 女神の誕生」-Padmaavat-
サンジャイ・リーラ・バンサーリー監督。13世紀末、シンガル王国の王女パドマーワティ(ディーピカー・パードゥコーン)は、メーワール王国の王ラタン・シン(シャーヒド・カプール)と恋に落ち、妃となった。一方、北インド・デリーのイスラム教国ではアラーウッディーン(ランビール・シン)が叔父を殺しスルタンとなりパドマーワティの美しさを知るが…。2時間40分以上で内容の割にはちょっと長い。もうちょっとテンポよくしてくれてもいいのに。とかいう文句以前に、サティー(寡婦焚死)に通じるジョーハル(尊厳殉死)なんてネタを肯定的に、いまインド映画でやるのはダメじゃないのかー、という疑問が一番。抗議はかなりあったそうだけど。まあ「平家物語」と変わらないし、言い訳はちゃんとしているけどモヤモヤ感は残る。
「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」-The Extraordinary Journey of the Fakir-
「アラジン」-Aladdin-
ガイ・リッチー監督。コソ泥のアラジン(メナ・マスード)は、偶然に王女ジャスミン(ナオミ・スコット)と出会う。そしてアラジンは野心家の大臣ジャファー(マーワン・ケンザリ)の命令により洞窟から魔法のランプを持ち出す仕事を引き受け、魔神ジーニー(ウィル・スミス)と出会うが…。基本ディズニー1992年アニメ版のリメイク。その当時のディズニーはCGなんかも果敢に採用してきていたが、物語の作り方がまったくダメな時代の印象。同じベースの物語だけど、さすがにガイ・リッチーが監督だと一味違う。しびれる動きのダイナミズム、ジェッキー・チェンをリスペクトな感じのアクションとか楽しい。CGを使わない生身の動きが本当にいい(CGのは逆にダメ)。ダンスシーンも楽しませてくれる。脚本も改変部分はこの時代かなり納得できる(特にジャスミンの強さ)。結構好きな映画。
「ROMA ローマ」-Roma-
「海獣の子供」
渡辺歩監督、五十嵐大介原作。中学生のハンドボール部の琉花は夏休みそうそうに活動禁止となり、居場所もなくなる。琉花は、父の働く水族館でジュゴンに育てられてた海と空という少年と出会い不思議な体験をし、さらに科学者のジム・キューザック、アングラード、デデたちとも巡り会っていくが…。STUDIO4℃がアニメーション制作。原作は読んでいる、第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀。映画は五巻までの全部。出だしのヘンな展開は面白いが、原作と同じでラストは「2001年」スターゲート風に発散感ありな印象は一緒かな。少女の成長物語としてもやや中途半端か。原作の裏エピソード的な方が面白いのだけど、そこはほとんど省略されているのはちょっと残念だな。