電子竹林:Blog

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「白夜行」

東野圭吾 集英社。「小説すばる」に1997/1から1999/1まで隔月で連載されたもの。建築中のビルの中で殺された質屋の桐原洋介の死、その息子の亮司。西本文代のガス事故よる死、その娘の美女の雪穂。この二人を軸にした、20年に渡る物語。自分の人生を「白夜の中を歩いているようなもの」と語る亮司、社会で成功しながらも「太陽の下を生きたことなんかないの」と語る雪穂、この二人の言葉からタイトルの「白夜行」の意味が感じられる。人物、時代背景に魅力はあるけど、盛り上がりもないし、結末の付け方もなんとなくという感じが不満。やはり2年間も連載を続けた作品だからかもしれない。子供時代は「永遠の仔」を連想させる深いテーマを感じるし、警察小説としても高村薫的な重みが感じられるだけに残念。主人公の、人の感情を操る恐さ、カリスマ的な魅力が面白いし、コンピュータの歴史とダークサイドの犯罪の話は面白く読めた。東野圭吾でも「秘密」なんかよりはずっと面白く読めた。