電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「親を殺した子供たち」- Sole Survivor -

エリオット・レイトン、草思社。なかなか面白い。M・スコット・ペック の「平気でうそをつく人たち」-虚偽と邪悪の心理学-みたいに一つ一つの例を深く突っ込んで調べている所が米国のジャーナリズムっぽい。億万長者の息子が家族が乗ったワゴン車を爆破、陸軍士官候補生が就寝中の家族を射殺、詩が好きな少女が服従する恋人を使って家族を殺害。これらの事例の詳細な研究も面白いけど、一番面白いのは総論としての「家族殺人の歴史社会学」。ここは読む価値が高い。「家族殺人は野心的で裕福でもある家庭に起こりがちなようだ」「労働者階級であれば強盗に入り自分以外の家族を殺害し、中流以上であれば自分自身の家族を殺害する」うーむ、深い。アダルト・チルドレンなどでも研究されている家族の問題を、親殺しという点から見ている。