電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

文庫版「メタルカラーの時代」1

山根一眞 小学館文庫。システム手帳が流行ったあたりから、山根一眞は面白いと思っているんだけど、考えてみると1986年「変体少女文字の研究」以来は「スーパー仕事術」シリーズ以外は読んだ事無い気がする。この「メタルカラーの時代」文庫本版は、ハードカバー版を分野別に再整理したもの。メタルカラーは、ホワイトカラー、ブルカラーに続く技術開発情熱を注ぐ人を示す山根の造語。本書はメタルカラーの人々のインタビュー集。ほとんどが現場の人の声で、有名人でも成功者でもないところがいい。猪瀬の「日本凡人伝」に通じる面白さがあるシリーズ1の最初の方の明石大橋の関係は、必要性に疑問はあるし、巨大信仰が強すぎてあまり納得出来ない所が多い。その後の情報社会関係は面白かったけど。20世紀初頭まで、天然ゴム景気でアマゾンに富が集中しマナウスの街は世界でもっとも豊かだったとか、19世紀中に英国は地球を一回りする電線を引いていたとか、西南戦争で官軍が勝ったのは東京-長崎の電信のおかげだったとか、そういう細かい話が雑学的によかった。