電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「台風家族」

市井昌秀監督脚本。台風が近づく中、鈴木家の長男・小鉄(草なぎ剛)、妻(尾野真千子)、娘ユズキ(甲田まひる)の一家、次男(新井浩文)、長女の麗奈(MEGUMI)は財産分与のために家に集まっていた。10年前、父・一鉄(藤竜也)は銀行強盗で2000万円を強奪し母・光子(榊原るみ)と行方不明になっていた…。好きな「箱入り息子の恋」市井昌秀監督のオリジナル脚本という事で期待していた。佐藤(若葉竜也)、三男・登志雄(若葉竜也)、山田(相島一之)、富永月子(長内映里香)と次々と登場人物が加わわって方向性が変わり、ヒューマンドラマを形作っていく展開は素晴らしく上手い。台風モノのカタルシスなラストに外れはないな。新井浩文のおかげでお蔵入りにならなくてよかった。。「凪待ち」香取慎吾なみの、草なぎ剛のクズっぷりもなかなかよい。

http://taifu-kazoku.com/

「記憶にございません!」

三谷幸喜監督脚本。史上最低の支持率の総理大臣・黒田啓介(中井貴一)は投石により記憶を失うが、秘書官の井坂(ディーン・フジオカ)、番場(小池栄子)は、黒田の妻・聡子(石田ゆり子)にもそれを隠し公務を行わせる。政治は幹事長・鶴丸(草刈正雄)が長年仕切り、またジャーナリストの古郡(佐藤浩市)は黒田を脅していたが…。三谷幸喜では久しぶりに好きな映画。「バイス」などの様に実在の政治家を題材にしたり、「スーパー・チューズデー 」 ほど骨太でもなく、「新聞記者」のように実際の事件をヒントにしたりなどの強気ではないが、政治モノとしてはよく出来ている。なんとなく「デーヴ」を連想させるかな。日本政界のアレコレをうまく盛り込み、最後の方はヒューマンドラマとしても成功している。恩師、山口崇の使い方とか面白かった。作りとしては全体にかなりチープだけど、まあそこは三谷幸喜らしい。米国大統領を日本人(木村佳乃)にやらせたのは初めてじゃないかなあ^^。

https://kiokunashi-movie.jp/

「フリーソロ」-Free Solo-

エリザベス・チャイ・バサルヘリィ+ジミー・チン監督。ロープや安全装置を使わないフリーソロのクライマー、アレックス・オノルドは、カリフォルニア州ヨセミテ国立公園の巨岩エル・キャピタンに挑もうと練習を重ね、2017年6月3日、ついに挑戦を開始するが…。第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞。本人はもちろん、恋人や撮影クルーの気持ちまで入り込んでるのがいい。もう、後半は、緊張しまくりで疲れた。監督は「MERU/メルー」と同じエリザベス・チャイ・バサルヘリィ+ジミー・チン。撮影方法もあらかじめ見どころに設置して遠隔操作するなど、いろいろと分かる。

http://freesolo-jp.com/

「SHADOW 影武者」-影 Shadow-

チャン・イーモウ監督。中国戦国時代、沛国(ペイ)が炎国に領土を奪われて20年、沛国王(チェン・カイ)には屈辱的な日々だった。沛国の重臣で戦士・都督((ダン・チャオ)はかつて炎国の最強戦士・楊蒼と戦った傷が癒えずに、今は表舞台には影武者が出ていた。それを知るのは都督の妻シャオアイ(スン・リー)だけだったが…。最近の作品と逆に派手な色彩を抑えに抑え、天気もひたすらに雨。水墨画のような色彩で映像が作りこまれている。この感覚はお見事。ポスターを作っている黄海の影響があるかもしれない。物語は「三国志」の荊州争奪戦が元というが、なんか関連がほとんどない気がする。全体に、個人的には「英雄-HERO」「LOVERS」よりは展開がいいし、見どころもあって面白いと思うんだが。

http://shadow-movie.jp/

「トールキン 旅のはじまり」-Tolkien-

ドメ・カルコスキ監督。3歳で父を失くし、12歳で母を失くし孤児となったJ・R・R・トールキン(ニコラス・ホルト)だったが、モーガン神父の助けによりキング・エドワード校へ進学。そこで生涯の友人ジェフリー(アンソニー・ボイル)、ロバート(パトリック・ギブソン)、クリストファー(トム・グリン=カーニー)と出会いT.C.B.Sという会を結成する。やがてトールキンは年上のエディス(リリー・コリンズ)と出会うが…。トールキンが本を書く前の青年時代までの話。友人や恋人たちとの関係、そして言語学など著作の背景となるところがわかるのは、「指輪物語」などが好きなら面白い。名門校やその暮らしぶり、一次大戦前と戦争後の英国が分かるのもいい。この人の著書ならは日本語に訳すの大変なはずだな、そして日本語だとニュアンスわかりにくいはずだと納得する。トールキンに興味がない人には面白くないかも。そもそも観ないか。

http://www.foxmovies-jp.com/tolkienmovie/

「荒野の誓い」-Hostiles-

スコット・クーパー監督。1892年、インディアン戦争の英雄のジョー・ブロッカー(クリスチャン・ベール)は 、余命わずかのシャイアン族の酋長イエロー・ホーク(ウェス・ステューディ)とその家族を故郷のモンタナ州へ護送する任務につく。途中、一行はコマンチ族に家族を殺されたロザリー(ロザムンド・パイク)を助けるが…。クーパー監督とベール主演の「ファーナス」 と同じように、米国の歴史の闇と重苦しさを強く感じる。西部劇の時代から、新しい時代に切り替わっていく感覚の描き方はいい。最初の敵で物語が展開して行くのかと思いきや、どんどん違う展開になって行くのはスピード感があって今っぽい。しかし、全体に死人多すぎでしょう。ロザムンド・パイクは全然、田舎の女っぽくないな。

http://kouyanochikai.com/

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-」

藤田春香監督、暁佳奈原作。名門女学園に通う大貴族ヨーク家の跡取り娘イザベラ・ヨークの元に、彼女の専属教育係として元少女ヴァイオレット・エヴァーガーデン(声:石川由依)が派遣される。彼女はC.H郵便社で、代筆の自動手記人形として働いたが…。京アニ作品、外伝じゃない方の劇場版は事件の影響で公開延期、誠意製作中らしい。オープニングの船のシーンから、絵も動きも京アニらしい繊細な美しさがあるし、物語は地味だけど最後までエモーショナルでよくまとまっている。ほぼ2話構成の前後編で話が繋がっていくのは成功している。劇場版も楽しみではあるが、心配でもある。

http://www.violet-evergarden.jp/sidestory/