電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「新解釈・三國志」

福田雄一監督。1800年前の中国、魏・蜀・呉の三国が中華統一を争う時代。蜀の劉備玄徳(大泉洋)は関羽(橋本さとし)、張飛(高橋努)と兄弟の誓いを交わし黄巾の乱で功績を上げる。やがて諸葛亮孔明(ムロツヨシ)を軍師に向かい入れ、さらに呉の孫権(岡田健史)と同盟を結び、曹操(小栗旬)率いる魏の大軍と赤壁で戦う事になるが…。福田雄一は当たり外れが極端な監督だと思うが、これはハズレな部類。新春スターかくし芸大会の西軍中国語劇(日本語だけどね)のレベルかなあ(古い)。見ていてかなり疲れる。三国志を知らないで物語が理解できるかちょっと分からない。俳優陣は豪華だけど、チョイ役の方に豪華なのを集めた感じがする。黄夫人(橋本環奈)、小喬(山本美月)、黄巾の人(山田孝之)、趙雲(岩田剛典)、呂布(城田優)とか。出だしは「カノッサの屈辱」ですかと思ったけど、カノッサほどは面白くなかった。

https://shinkaishaku-sangokushi.com/

「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来」-羅小黒戦記 The Legend of Hei-

MTJJ監督。妖精と人間が共存する世界、猫の妖精ロシャオヘイ/羅小黒/(声:花澤香菜)は人間の開発により森を追われ放浪し、妖精フーシー/風息(声:櫻井孝宏)、人間のムゲン/無限(声:宮野真守)と出会い成長していくが…。Webアニメは話題になった時にちょっと観たぐらいの予備知識。劇場版は前日譚になるんだけど、まったく別物なグレードアップ感。大ヒットしたのは納得出来る。物語、設定は現代中国を背景にしながらオリジナリティがあり、中国文化のアイデンティティを探るよう視点がいい感じ。2Dだけど、スタッフ全員デジタルだけで作ってきた人なんだろうな、という絵づくり。色に関してはちょっとベタすぎかなあ、陰影付けないのは味なのか??? 微妙な線の太さもWebアニメなテイストなのか??動きも構図はケレン味があって好きだな。物語や設定は、ジブリとかの影響は結構あるな。落とし所もジブリっぽい。

https://luoxiaohei-movie.com/

「魔女がいっぱい」-The Witches-

ロバート・ゼメキス監督、ロアルド・ダール原作。1960年代米国、両親を亡くしたぼく(ジャジル・ブルーノ)はおばあちゃん(オクタビア・スペンサー)に引き取られ、白ネズミのデイジーをプレゼントされたり、なんとか立ち直っていく。そんな時に魔女に出会ってしまい、ぼくとおばあちゃんはホテルへ避難するが、そこでは大魔女グランド・ウィッチ(アン・ハサウェイ)たち魔女の集会が行われようとしていた…。ちょっと子供向き、でもロアルド・ダールのオドロオドロしさは残っている。制作脚本のギレルモ・デル・トロの好みも入っている感じ。まあ日本では大人向けだろう、クリスマスシーズンの軽い作品。アン・ハサウェイが魔女になるとどんな顔かってトコが一番の見所か^^(妊娠中の撮影だったらしいが)。デイジー、子供のブルーノ・ジェンキンス、支配人のストリンガー3世(スタンリー・トゥッチ)など脇役が面白い。おばあちゃん役オクタビア・スペンサーは、ギレルモ・デル・トロ「シェイプ・オブ・ウォーター」の人か。

https://wwws.warnerbros.co.jp/majo-movie/

「サイレント・トーキョー」

波多野貴文監督、秦建日子原作「サイレント・トーキョー And so this is Xmas」。クリスマスイブの東京、爆弾犯行予告の現場へTV局の契約社員・来栖(井之脇海)は向かうが、巻き込まれた主婦の山口アイコ(石田ゆり子)と共に犯人と疑われる。さらにハチ公近くの犯行予告で警視庁の世田(西島秀俊)と泉大(勝地涼)は現場へ向かい、朝比奈(佐藤浩市)、IT会社CEO須永(中村倫也)は不審な動きを見せ、OLの高梨真奈美(広瀬アリス)は須永の後を追うが…。99分にテンポ良く編集された展開は小気味良い。細部では適当で納得性がないところもあるが、それを気にさせないスピード感は持っている。サスペンスとしてもまあまあ楽しめるかな。平和ボケって視点は単純すぎてちょっと深みがないかも。スクランブル交差点に代表されるボケが問題でも、平和はダメじゃないし、犯人側にもうちょっと深みがあれば良かった。もともと秦建日子の原作がジョン&ヨーコの曲からインスパイアされたって事だが、曲は知っているとちょっとモヤモヤしたものがある。そこは知らない方がいい気がした^^;

https://silent-tokyo.com/

「フード・ラック!食運」

寺門ジモン監督原作。竹中静香(土屋太鳳)は、上司の新生(石黒賢)から焼肉に特化したグルメ情報サイトの立ち上げを任され、ライターの佐藤良人(EXILE NAOTO)と共に店を回る。良人の母・安江(りょう)はかつて人気焼肉店・根岸苑を切り盛りしていたが、あるきっかけで店を閉める事になっていた…。見る前はなんとなく芸人の素人風な映画だろうなと思っていたが、物語は意外にしっかりしている。演出も浮ついたところはなく重厚。特に焼肉の焼き方はすべてじっくり描いてるのがイイ。グルメ情報サイトへの視点、批判記事の問題など社会性もある。グルメ全般ではなく焼肉にフォーカスしているのもいいし、熟成肉への一家言とか痛快。主演の演技もイマイチだけど、脇役は豪華。まあ撮影とかチープさもあるけど、全体には寺門ジモンは立派に監督だなという印象。

https://movies.shochiku.co.jp/foodluck/

「エイブのキッチンストーリー」-Abe-

フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ監督。NYブルックリン、12歳のエイブ(ノア・シュナップ)はイスラエル人の母とパレスチナ人の父を持ち、文化・宗教の板挟みにあっていた。料理好きでインスタで公開するのを楽しみにしている。エイブはサマーキャンプを嫌い、フュージョン料理のシェフ・チコ(セウ・ジョルジ)の元で働こうとするが…。監督自身の半生がベース、だがサンパウロユダヤとクリスチャンの両親で育ったというから映画の設定とは随分違う。映画のユダヤムスリムに挟まれた会食はちょっと激しすぎ。それをフュージョン料理で解決しようとするのが「美味しんぼ」の山岡士郎みたいだが、それほど上手くは行かない。文化的な対立の描き方はかなり面白い。料理の面白さは美味しさの面はそれほどでもないかな。最後も曖昧だし。主演は「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のウィル役、その人気の方が前面に出てる感じ。

https://abe-movie.jp/

「泣く子はいねぇが」

佐藤快磨監督。秋田県男鹿半島、後藤たすく(仲野太賀)は妻・ことね(吉岡里帆)、生まれたばかりの娘との三人暮らし。大晦日の夜、たすくは康夫(柳葉敏郎)たちとナマハゲ行事に参加するが、ある問題を起こす。二年後、上京していたたすくは秋田の親友・亮介(寛一郎)と再会したことから、秋田の母・せつ子(余貴美子)、弟・悠馬(山中崇)の元へ戻るが…。監督の劇場デビュー作、「夜明け」などの手掛ける是枝裕和の文福が企画協力。地味な話でヒューマンドラマってトコは「夜明け」と同じか。丁寧にエピソードを積み重ねて、ラストのまとめ方で上手いなと思わせる。仲野太賀は微妙な心理の出し方はいい、特にお遊戯会の演出は好き。吉岡里帆も地味な感じがいいな。古川琴音は印象的だけど出番少なかった。まあ、全体に地味な映画だけど嫌いじゃない。

https://nakukohainega.com/