電子竹林:Blog

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「蟹工船」

SABU脚本監督、小林多喜二原作。出稼ぎ労働者が過酷な労働を強いられるオホーツク海蟹工船・博光丸。皆に集団自殺をけしかけた新庄(松田龍平)は、他の労働者に「自分たちが変わらなければ何も変わらない!」と提起をし、現場監督の浅川(西島秀俊)たちに立ち向かうが…。原作160万部突破というのは驚異的。大筋で原作と同じだが、演出は演劇的な空間に感じる。原作での暗さや汚さはあんまり感じられないし、役者の身なりも現代的に置き換えてある。プロレタリア文学の代表作を尊重してか、資本家、経営者、海軍、ロアシ船、闘争などの構図はそのまま。全体には悪くないと思ったが、歴史的な価値はあっても現代のプロレタリアにどう訴えるかけるものがあるのかちょっと分からない。現代の闘争や革命もこういう形だと単純に信じられたら、それは思考停止と同じ。今の日本の労働者の物語としては「ハゲタカ」(id:zom-1:20090609#p1)が印象的だった。新井浩文高良健吾柄本時生など個性的ではあるが出番は少なかった。

http://kanikosen.jp/