電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「月の満ち欠け」

廣木隆一監督、佐藤正午原作。小山内堅(大泉洋)は幸せな生活を送っていたが、事故で娘・瑠璃(菊池日菜子)と妻・梢(柴咲コウ)を失ってしまう。失意の小山内のもとに三角哲彦(目黒蓮)と名乗る男が訪ね、かつて三角が愛した瑠璃(有村架純)という女性について語り始めるが…。原作未読、予告編では隠されているが、そーいう話なのかあと驚き。あんまり好みの設定ではないのは「桜、ふたたびの加奈子」と同じ印象だなあ。全体にセリフが説明的で硬い感じがする。全体にはつまらなくはないが、好みではないって感じかなあ。感動ものよりもホラーに思える。古い高田馬場の駅前を再現、って話題になっていたけど、今とそれほど変化がないと思うがなあ。あと、二つの事故があまりに陳腐なのが気になる。田中圭の正木竜之介もちょっとステレオタイプかなあ。

https://movies.shochiku.co.jp/tsuki-michikake/

「ブラックアダム」-Black Adam-

ジャウム・コレット=セラ監督。5000年前、砂漠の国カーンダックでエジプトの神々から魔力を与えられたブラックアダム(ドウェイン・ジョンソン)は魔術師たちにより封印されていた。現代、大学教授のアドリアナ(サラ・シャヒ)、息子アモン、弟カリームたちによる偶然で、ブラックアダムが現代に甦ってしまう。これに対抗しようとJSAは、ホークマン(オルディス・ホッジ)、ドクター・フェイト(ピアース・ブロスナン)、新人のアトム・スマッシャー、サイクロンたちを送るが…。DCもマーベルも基本パスの方針だけど、この監督はかなり面白いので観ることに。全体に、ヴィランとヒーローの逆転にしか見えない構図で突き進む展開は、結構面白い。その中で三勢力の対決が物語を面白くしている。CGはかなりチャチいのは残念。ドクター・フェイト役のピアース・ブロスナンがしっとりとした、いい味だしていたのがアクセントになっている。

https://wwws.warnerbros.co.jp/blackadam/

「母性」

廣木隆一監督、堀泉杏脚本、湊かなえ原作。ルミ子(戸田恵梨香)は母(大地真央)を溺愛していたが、夫(三浦誠己)と結婚、娘の清佳(永野芽郁)も生まれる。しかし、ある事故で母を亡くし、一家は義母(高畑淳子)の家に居候することになる…。原作未読。予告編は「藪の中」的なミステリー性を期待させるのだが、そんな面白みはまったくなかった。期待した感じとはまったく違った。ミステリー性は薄い。原作は叙述トリックらしいが、そこはあんまり活かされていないようだ。まあ退屈ではなかったが、全体な作りはややチープか。最初はチープさを狙っているのかと思ったが、単にチープだったのかもしれない。全体になんかもったいない感じ。

https://wwws.warnerbros.co.jp/bosei/

「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」-Strange World-

ドン・ホール監督。豊かな国アヴァロニアの農夫、サーチャー(声:ジェイク・ギレンホール)は妻メリディアン(声:ガブリエル・ユニオン)、息子イーサン(ジャブーキー・ヤング=ホワイト)と平和に暮らしていた。サーチャーは偉大な冒険家の父イェーガー(声:デニス・クエイド)にコンプレックスを持ち冒険を嫌っていたが、アヴァロニアのエネルギー源である植物パンドが枯れはじめ、サーチャーたちは探検隊を組み調査に出かけることになるが…。ディズニーアニメもPixerと一緒になってから、かなり脚本がよくなってきたと思っていたが、これはダメだなあ。個人的には「チキン・リトル 日本語吹き替え版」並みにダメだったなあ。キャラもイマイチ面白みがないし、ドタバタしているだけで展開のテンポも悪い。最大の謎であり、全体のメタファーを理解した時には驚いたが、まあこれは一発ネタだな。このネタは、日本のあるコミック、アニメに影響されているのかも、と思ったが間違いないだろうな。面白くなった話だと思うだけに残念。

https://www.disney.co.jp/movie/strange-world.html

「サイレント・ナイト」-Silent Night-

カミラ・グリフィン監督脚本。英国の田舎、ネル(キーラ・ナイトレイ)とサイモン(マシュー・グード)とアート(ローマン・グリフィン・デイビス)たち三人の子供が暮らす屋敷でクリスマスディナーが開かれようとしていた。客は夫婦の学生時代の友人とその家族。総勢12人が集まるが、生物を死滅させる毒ガスがここにも届こうとしていた…。地球最後の日モノだが、英国らしいブラックジョークっぽい展開と、その状況での各々の心情に面白みがある。この設定は、今のコロナの感染拡大にひっかけているのだろうか、と色々考えたりしていた。まあ、もうちょっと、あと2、3歩進んだヒネリがたりない気がするのが残念。「ジョジョ・ラビット」のローマン・グリフィン・デイビスの芸達者ぶりがいい。監督はこの子役と、あと(多分)ハーディとトーマスの実の母親。 http://silent-night.jp/

「ザリガニの鳴くところ」-Where the Crawdads Sing-

リビア・ニューマン監督、ディーリア・オーエンズ原作。1960年代ノースカロライナ州の湿地帯、将来有望で裕福な家庭の青年チェイス(ハリス・ディキンソン)が死体で発見された。犯人として捕まったのは、少女カイア(デイジーエドガー=ジョーンズ)。カイアは両親、兄弟にも見捨てられ学校へも通わずに湿地で一人生き、心を許すのはテイト(テイラー・ジョン・スミス)、小さな商店のメイベルたちぐらいだった…。期待の作品で、個人的には予想通りに良かったのだが万人向けではないかもしれない。この面白さが分からない人はいるとは思う。ディティール見てないと最後がハテナかもしれないが。原作未読なのだが、これは原作の方がずっと面白そうだな。原作、監督も女性で、リース・ウィザースプーンが製作、テイラー・スウィフトも音楽で参加と、女性パワーが強いのがイマドキ。

https://www.zarigani-movie.jp/

「ある男」

石川慶監督、平野啓一郎原作。離婚して子供と故郷に帰り、文房具店で働いていた里枝(安藤サクラ)は、林業の谷口大祐(妻夫木聡)と知り合い結婚、新たな子供も生まれる。やがて大祐は事故で死去するが、実際の谷口大祐とは別人だということがわかる。弁護士の城戸(妻夫木聡)は里枝の夫の正体を確かめようと、刑務所の小見浦(柄本明)に面会するが…。原作未読。石川慶監督としては「愚行録」 に近い雰囲気に感じる。「愚行録」とは違って、日本のどこかにいかにもありそうな話だけど、探ると見えてくる闇が深いのがなんとも凄い。先が読めない展開に、最後までぐーっと引っ張られる感じ。社会派だけどとても庶民的なところもいいし、弁護士の城戸の背景も面白い。ヒューマンドラマとしてもいい出来。妻夫木聡は弁護士だけど、ちょっと煤けた感じがいい^^。

https://movies.shochiku.co.jp/a-man/