電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ドライブ・マイ・カー」

濱口竜介監督脚本、村上春樹原作。舞台演出家の家福(西島秀俊)は妻の音(霧島れいか)を失い、2年後、演劇祭の演出のために広島へ向かう。そこで、愛車サーブの専属ドライバーに渡利みさき(三浦透子)が担当することになる。また主催のコン・ユンス(ジン・デヨン)とともに、俳優イ・ユナ(パク・ユリム)、高槻耕史(岡田将生)、ジャニス・チャン(ソニア・ユアンたちのオーディションを行うが…。2021年カンヌの脚本賞国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞。監督前作の「寝ても覚めても」も他にない感触を持った不思議な魅力の映画だったが、これも同じ印象。原作の短編は読んでいるが、あれを三時間近くの映画にできるとは驚き。かなり「ワーニャ伯父さん」の力を借りているところもあるが、とても上手く使っている。特に舞台のラストシーン、手話の使い方は見事。釜山を舞台にするはずが新型コロナの影響で広島に舞台を変えたらしいが、どう影響したか気になる。キャストも変わっていたのだろうか。広島-北海道はちょっと遠いんじゃないのと思ったし。ところで、予告編を最初観た時は、三浦透子田畑智子だと思っていた。

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「孤狼の血 LEVEL2」

白石和彌監督。広島、呉原東署刑事二課の日岡(松坂桃李)は大上(役所広司)の跡を継ぎ、仁正会と尾谷組が対立する裏社会を治めていた。しかし出所した仁正会系の上林(鈴木亮平)が実権を乗っ取り均衡が崩れる。また日岡のスパイ、近田幸太(村上虹郎)は上林の部下として信頼されていくが…。前作「孤狼の血」はまあまあ好きだが、2の方が個人的にはずっと面白いかな。1は大上の葛藤がなかなか良かったのだけど、2では展開と鈴木亮平の凶悪さが上手く、映画としては好み。全員ワルなのは相変わらずいい。原作の設定だが映画の物語は完全オリジナルストーリみたい、脚本がよくできている。上林に翻弄される親分たちが弱すぎるが、五十子環(かたせ梨乃)の登場シーンはちょっと笑った。

https://www.korou.jp/

「ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結」-The Suicide Squad-

ジェームズ・ガン監督。スターフィッシュ計画のナチス時代の研究所ヨトゥンヘイムを破壊するための作戦が進行、リック・フラッグ大佐(ジョエル・キナマン)率いるチームのハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)たち、最強スナイパーのブラッドスポート(イドリス・エルバ)率いるチーム、キング・シャーク(声:シルベスター・スタローン)、ポルカドットマン(デビッド・ダストマルチャン)、鼠使いのラットキャッチャー2(ダニエラ・メルヒオール)、ピースメイカー(ジョン・シナ)が上陸するが…。出だしの誰このキャラ?感からチーム結成して上陸、の展開は上手く、意外な切り替え方が巧み。全体には主役誰なのか分からず展開しているが、やはり見どころはハーレイ・クインかなあ。それぞれ面白いキャラだけど見せ場はみんなハーレイ・クインかも。「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」よりは好き。脇役のキャラもヘンなのばかりで、特にポルカドットマンの能力は謎。まあ、細かいところは気にしないエンタメ作品かな。「スーサイド・スクワッド」の時と同じで、タスクフォースX作って強敵と戦うって構成は同じだけど、今回の方がずっと面白い。キャプテン・ブーメランは前回も出ていたのか...

https://wwws.warnerbros.co.jp/thesuicidesquad/

「フリー・ガイ」-Free Guy-

ショーン・レビ監督。ガイ(ライアン・レイノルズ)は、オンライン・ゲームのフリー・シティで銀行窓口係をしているモブキャラ(NCP)で強盗に襲われる毎日。親友は銀行の守衛のバディ(リル・レル・ハウリー)。ある時、ガイはモロトフ・ガールというキャラと出会い日常に疑問を感じる。モロトフ・ガールのプレイヤーは、スナミ社のミリー(ジョディ・カマー)であり、キーズ(ジョー・キーリー)とともに作ったコードがスナミ社社長のアントワン(タイカ・ワイティティ)に盗用されたのではないかと探ったいたのだが…。予告編からは感じるのは軽いファンタジー感で、見なくてもいいな、な印象はあった。が、意外に内容は深く、後半の展開もかなり凝っていて面白い。ゲーム内容、ゲームのプレイヤーいろいろ、ゲーム業界、さらにサブカルなネタの出し方も好き。

https://20thcenturystudios.jp/movie/Freeguy.html

「ドント・ブリーズ2」-Don't Breathe 2-

ロド・サヤゲス監督。郊外の古い屋敷で盲目の老人(スティーブン・ラング)は、少女と暮らしていたが、男(ブレンダン・セクストン3世)が率いる武装集団が少女をさらおうとする…。「ドント・ブリーズ」がかなり好きだったので、期待作。前回の脚本家が監督になっている。プロデューサーのサム・ライミのテイストも微妙に感じる、特にスプラッタなシーン。前作が気に入った人には絶対オススメ、緊張の連続でかなり疲労困憊となった。爺さんの善人感にちょっと戸惑うかもしれないが、そもそも善悪を超えた対決なところが面白さだと思う。爺さん相変わらず強すぎ。あと、犬の使い方が上手いな。

https://www.donburi-movie.jp/

「映画 太陽の子」

黒崎博監督。1945年京都帝国大学、石村修(柳楽優弥)は軍の依頼での核爆弾の研究を進める原子核物理学の荒勝教授(國村隼)の研究室で、濃縮ウランを作るための遠心分離機の作成に苦労していた。その頃、幼馴染の世津(有村架純)が修の家に疎開し、また修の弟・裕之(三浦春馬)が一時帰宅するが…。元のNHKのドラマ未見。原子核爆弾の開発話ではあるのだが、ほとんど遠心分離機の開発ばかり。まあ事実だからしょうがないと思うが。それぞれの苦悩はなかなか深いものがあっていいのだが、最後はちょっと曖昧でテーマがボケている感じがする。主人公がファインマンみたいにクレージーなトコは怖い。あと、三浦春馬が突然現れるとドキっとするなあ、やはり。これが遺作になるのかな。京都だから清水焼、焼物の釉薬のウラン酸ソーダをかき集めるってのはなるほどと思った。窯元の澤村(イッセー尾形)はいい感じ。

https://taiyounoko-movie.jp/

「明日に向かって笑え!」-La odisea de los Giles-

セバスティアン・ボレンステイン監督。2001年、アルゼンチンの田舎町。元サッカー選手のフェルミン(リカルド・ダリン)は、放置されていた農業施設を再生し農協を作ろうと資金を集める。しかし銀行に現金を預けた翌日、金融危機で預金が凍結。フェルミンは妻も失い絶望するが、弁護士マンシー(アンドレス・パラ)がみんなの金を騙し取り金庫に隠してある事を知り、息子ロドリゴ(チノ・ダリン)、アントニオ(ルイス・ブランドーニ)たちと資金奪還の計画を立てるが…。好きな「瞳の奥の秘密」の脚本家なので期待だったが、やはり脚本がいいな。ジェフリー・アーチャーの「百万ドルをとり返せ!」や、映画では「ペントハウス」みたいな資金奪還系な話。計画は斬新だが、両サイドとも間抜けな感じなのはアルゼンチンっぽいコメディらしさがあるし、リアリティがあって面白い。年寄りばかりなトコに、息子と秘書がアクセントでいるのも好き。

https://gaga.ne.jp/asuniwarae/