電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ドリーム・ホース」-Dream Horse-

ユーロス・リン監督。ウェールズの小さな村、スーパーマーケットでのパート仕事と親の介護をするジャン(トニ・コレット)は、夫ブライアン(オーウェンティール)との単調な生活を過ごしていた。クラブで元馬主のハワード(ダミアン・ルイス)の話を聞き、血統の良い牝馬を購入、村の人々に馬主組合の結成を呼びかけるが…。実話ベース。何かのきっかけで人生を取り戻すとてもいい話、心が温かくなる。新年一番に観るにはとてもオススメな映画。展開のさせ方がベタではあるが、なかなかに上手い。冴えないキャラが物語が進むにつれて生き生きとしていくという、トニ・コレットのキャラが活きている。ウェールズ愛に溢れているのもいい。ハワード役のダミアン・ルイスは、何に出ていた人だっけと考えていたが、「HOMELAND」の人か。久しぶりにみた。英国人だったのか、ウェールズじゃなくてイングランドだけど。実際の本人が最後に出てくるが、この登場の仕方はいままでその手の映画の中で一番楽しかった。

https://cinerack.jp/dream/

2022年にビデオで観た映画一覧

「近江商人、走る!」

三野龍一監督。銀次(上村侑)は百姓の息子だったが、薬屋の喜平(村田秀亮)との出会いで、大津の米問屋大善屋・伊左衛門(筧利夫)のもとで先輩丁稚の蔵之介(森永悠希)、伊左衛門の娘・楓(黒木ひかり)たちと暮らしていた。銀次はさまざまな工夫でメガネ屋の有益(前野朋哉)、茶屋の看板娘お仙(田野優花)たちを助けていったが、大津奉行(堀部圭亮)の策略に嵌った伊左衛門のためにある計画を考える…。全体には粗いとこ、チープなとこはあるけど、江戸時代に現代経済なアイデアを実現する近江商人の姿はなかなか面白い。「引っ越し大名!」「殿、利息でござる!」「決算!忠臣蔵」「超高速 参勤交代」「武士の家計簿」みたいな江戸経済モノと言えるけど、その中ではアイデアとしては一番斬新。江戸時代の裁定取引(アービトラージ)での「ハミングバード・プロジェクト」の実現方法は伏線も巧みで、爽快な展開。悪役の奉行がやや古臭さすぎるかなあ。藤岡弘が特別出演。この監督の映画は初めてみた。

https://oumishounin.com/

「かがみの孤城」

原恵一監督、辻村深月原作。不登校の中学生こころ(声:當真あみ)は、ある日、部屋の鏡に吸い込まれるとお伽話のような城だった。そこにはサッカー好きのスバル(板垣李光人)、浮世離れしたリオン(北村匠海)、快活なアキ(吉柳咲良)、ピアノが好きなフウカ(横溝菜帆)、ゲームマニアのマサムネ(高山みなみ)、惚れっぽいウレシノ(梶裕貴)、こころを入れて中学生六人。そして仮面を被った子供、オオカミさま。オオカミさまは城に隠された秘密の鍵を見つけたものには、どんな願いでもかなうというが…。辻村深月の原作は未読。原作では各キャラが書き込まれているんだろうなあ、と思いつつ、ややキャラの薄さを感じる。オオカミさまも最後に納得性がない。社会性はあるがイジメ側のキャラも表面的なのが気になる。謎は全体に簡単、物語としてはまあまあなんだが、子供向きな作りなのかなあ。山のようなヒントの中、おまえら童話も読まずに育ってきたのかとちょっとイラってきた^^。映画最初から背景のパース狂ってんじゃないの感があった。エンディングで美術の中村隆(2021年6月死去RIP)への追悼があったけどけど、関係するのかなあ。

https://movies.shochiku.co.jp/kagaminokojo/

「ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY」-Whitney Houston: I Wanna Dance with Somebody-

ケイシー・レモンズ監督。ホイットニー・ヒューストン(ナオミ・アッキー)は偉大な歌手の母シシー(タマラ・チュニー)を持ちバックコーラスをやっていたが、プロデューサーのクライブ・デイビス(スタンリー・トゥッチ)に見出されデビュー。やがて、ボビー・ブラウン(アシュトン・サンダース)と結婚するが…。一時は目覚ましに彼女のCDを使ってたが、超好きってほどでもないぐらいのホイットニー。映画は、実力を発揮し成功するけど色々な裏切りがあって薬や酒に溺れる、ってミュージシャン映画の王道パターンを普通に描いている。あんまり工夫は感じられない。ケビン・コスナーとの「ボディガード」はもうちょっと描いて欲しかったけど、まあ時間が足りないか。ボビー・ブラウンが結構間抜けな感じ。スタンリー・トゥッチが演じるクライブ・デイビスが随分といい役やっているなあと思ったら、本人がプロデューサーやっているのか。それはズルいかも、90歳。あとで知ったが、2015年に娘は22歳で、2020年に息子は28歳で亡くなっているんだ..。ホイットニーは1992年2月11日に死去、享年48歳か RIP。

https://www.whitney-movie.jp/

「死を告げる女」-The Anchor-

チョン・ジヨン監督。セラ(チョン・ウヒ)はニュース番組の人気キャスターでありながら、後輩の活躍、母ソジョン(イ・ヘヨン)のキャリアへの口出しとプレッシャーを感じていた。そんな頃、ユン・ミソと名乗る女から生放送5分前に情報提供の電話を受ける。セラはスクープのためにミソの家へ向かうが、そこでミソとその娘の死体を発見。事件の取材を続け、セラはミソの主治医だった精神科医イノ(シン・ハギュン)と会うが…。ホラーかサイコミステリーか不明で曖昧に展開していく、最近の韓国でありがちな構成。これはどんでん返しあるんでしょ、というウガった目で見ているのでラストは見えてしまったのだが、まあ、そこはよく出来ているかなあ。多くの人は騙されると思う。でも中盤はドラマ的には停滞してしまい、テンポが悪い。ミスディレクションとか分かりやすすぎ、下手すぎ。まあ全体には悪くはない印象だけど、もっと面白くなったという残念感はある。

https://klockworx-asia.com/anchor/

「THE FIRST SLAM DUNK」

井上雄彦監督脚本原作。神奈川県代表・湘北高校バスケ部メンバー、主将ゴリこと赤木(声:三宅健太)、小柄の切込み隊長リョータ(声:仲村宗悟)、初心者の桜木花道(声:木村昴)、スーパールーキー流川(声:神尾晋一郎)、復帰した3Pシューター三井(声:笠間淳)たち。湘北はインターハイで王者・山王工業と対戦、その鉄壁のデフェンスを崩せないでいるが…。これはパス予定だったけど、動員数三週連続トップ、「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」より多いとは驚きで観ることに。原作は大体読んでる、アニメは絵柄がイマイチで未見。1990年代のアニメと同じ東映アニメーションがやっているのは心配だった。しかし、全体には井上雄彦の絵がリアルにモーションアクターで動いているだけで感動。絵柄は荒っぽい線でありながら繊細、カラー口絵での塗り方まで再現しているような忠実さ。物語はほぼ山王戦、最後の1秒まで熱い戦いが続く。まあ、勝負は知っていても熱く観られる。主人公をリョータにしたことで1990年代っぽさはなくなり、ドラマとしては面白いものになっている。

https://slamdunk-movie.jp/