電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「アキラとあきら」

三木孝浩監督、池井戸潤原作。メガバンクの同期、山崎瑛(竹内涼真)は親の町工場倒産を経験した苦労人、階堂彬(横浜流星)は大企業の御曹司。山崎はある案件で信念を通し左遷される。一方、階堂は父、叔父、弟たち親族の争いに巻き込まれるが…。ジェフリー・アーチャー「ケインとアベル」風な二人の銀行家の人生の交錯、原作未読だが、意識しているんじゃないかなあ。まあ、あそこまでドラマティックではないが物語としてはまあまあ。ビジネスものとしては、面白味はある。ただ、最後のところは、ほんとにそのスキームでいけるの?って疑問はかなりある。ホテルから業態変更して、施設を活かして事業をできるところ(高専賃とか老人ホームとかぐらいしか思いつかないが)をみつけて売却、損切りするんじゃないかなあ。上白石萌歌は、いい役どころだが活躍は少なかったな。

https://akira-to-akira-movie.toho.co.jp/

「NOPE ノープ」-Nope-

ジョーダン・ピール監督。ヘイウッド家のOJ(ダニエル・カルーヤ)は家業の牧場を経営していたが、奇怪な事故で父親は死亡。OJは空に何かを見るが、妹エメラルド(キキ・パーマー)、電気屋のエンジェル・トーレス(ブランドン・ペレア)とともにそれを撮影しようとする。一方、近くでテーマパークをを経営するリッキー(スティーブン・ユァン)は新たなショーを計画していた…。「ゲット・アウト」、「アス」のジョーダン・ピールの長編三作目。前二作のプロデューサー、ショーン・マッキトリックは参加してないみたいだが、作風に影響は残っているなあ。予告編からして、謎と期待の映画だったけど個人的にはかなり満足。ネタバレしないで面白さを説明するのはかなり難しい。こういう話なのかーという納得感が最後にはあってよかった。もっと曖昧に終わるか心配してたから。なんとなく「ウルトラQ」な印象があった。マイブリッジの馬の連続写真がテーマになっているのがいいなあ(子供の頃から見ているが騎手が黒人だとは気づいてなかった)。そして16mmでいいのにIMAXカメラにKODAK65mmフィルムってトコはうちわ受けのように爆笑した。こういうネタや映像の素晴らしさは「ダンケルク」「インターステラー」「TENET テネット」の撮影監督、ホイテ・ヴァン・ホイテマの功績だろうな。そして、チンパンジーのゴーディみたいに謎が残るのも嫌いじゃない。

https://nope-movie.jp/

「サバカン SABAKAN」

金沢知樹監督。1980年代長崎、小学五年生の久田孝明(番家一路)は家が貧しく友達がいない竹本健次(原田琥之佑)と仲良くなり、夏休みのある日、一緒にイルカを見に遠くまで出かけることになるが…。監督はテレビや舞台の人で映画は初。監督が共同でのオリジナル脚本なのは評価したい。やや古臭い演出、ありがちな展開ではある。「鉄塔武蔵野線」とか連想するが、あそこまでは面白味がないかな。ヤンキーとか「スタンド・バイ・ミー」に寄せている感じもする。でも小粒ながら、いい映画ではある。茅島みずきは「女子高生に殺されたい」の柔道部だが、やはり印象的だが出番少ないなあ。

https://sabakan-movie.com/

「女神の継承」-The Medium-

バンジョン・ピサンタナクーン監督。タイ東北部の村、祈祷師一族の血を継ぐミン(ナリルヤ・グルモンコルペチ)は原因不明の体調不良に襲われ、奇怪な行動を繰り返すようになる。メイの母は、祈祷師の妹ニム(サワニー・ウトーンマ)に助けを求めるが…。「哭声/コクソン」のナ・ホンジンが原案製作で、タイ韓国合作のホラー。予告編からは、これはかなりイケる気がしていたんだけど、ダメだなあ。予告編の作りが上手すぎるのか。モキュメンタリーな作りは成功していないし、話は単純すぎだし、映像もイマイチといいところがない。オチというか、その正体もちょっと単純すぎるのではないかなあ。

https://synca.jp/megami/

「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」-Jurassic World: Dominion-

コリン・トレボロウ監督。噴火によりジュラシック・ワールドの恐竜が世界に放たれてから四年、オーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、ロックウッドの娘のクローンであるメイジー(イザベラ・サーモン)を守り、人里離れて暮らしていた。一方、巨大イナゴの発生からサトラー博士(ローラ・ダーン)はバイオ企業バイオシンを怪しみ、グラント博士(サム・ニール)の協力を得てバイオシンのもとで働くマルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)にも協力を求めるが…。「ジュラシック・ワールド 炎の王国」の続き、シリーズ最終章、ってことだが、まあ同じことの繰り返し感はある。でも、ずっと緊張感ある展開で、恐竜のカーチェイスとかは新鮮でよい。メイジーの存在感はなかなか。グラント、サトラー、マルコムと三人揃えてメインに持ってきたのも、最終章としては適切だったなあ。そもそもバイオシンからして第一作からつながっている。バイオシンCEOルイス・ドジスン(キャンベル・スコット)がどうみてもティム・クック、会社が円形でどうみてもApple Park、これ平気なの、とちょっと思った。

https://www.jurassicworld.jp/

「ボイリング・ポイント 沸騰」-Boiling Point-

フィリップ・バランティーニ監督。クリスマス前の金曜日で予約いっぱいのレストラン、シェフのアンディ(スティーブン・グレアム)は妻子別居と衛生検査とトラブルだらけ。スーシェフのカーリー(ビネット・ロビンソン)はなんとか厨房を仕切るが、そこにアンディのライバルのアリステア・スカイ(ジェイソン・フレミング)が評論家を連れて来店する…。90分ワンショットで撮るってとこだけ話題になっているが、そこは単なる技法。それが緊張感を生んでいるかといえば、逆効果な感じ。アウトフォーカスが多いのはかなり気になるなあ、カメラの選択のせいと暗いライティングのせいだと思う。個々の人々に焦点を切り替えながら展開していくとこは上手い人生の切り取り方だとは思った。が、最後は、そこで終わりかなと物語的としてはちょっと残念だった。ワンカットものというと、古くは「ロープ」から、最近では「カメラを止めるな!」「1917 命をかけた伝令」「ウトヤ島、7月22日」とか色々観てきているが、その中でもワンカットの意味が薄いと思う。ところで、ワンカットの「大空港2013」はもっと評価されていいと思うな。

http://www.cetera.co.jp/boilingpoint/

「炎のデス・ポリス」-Copshop-

ジョー・カーナハン監督。詐欺師テディ(フランク・グリロ)は命を狙われ、わざと逮捕され、砂漠の中の小さな警察署に留置される。そこにマフィアの殺し屋ボブ(ジェラルド・バトラー)が泥酔者として入り込むが、新人警官ヴァレリー(アレクシス・ラウダー)はボブの計画を阻止。さらにサイコパスの殺し屋アンソニー・ラム(トビー・ハス)が現れるが…。監督の「スモーキン・エース~暗殺者がいっぱい」みたいなシチュエーションものだが、その設定に「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」みたいな突き抜け感があってなかなか。特にアンソニーはヤバすぎ。対する警官の正義感もうまく出ている。小さくまとまっているが、エンタメとしてはよかった。

https://copshop-movie.jp/